【読書】笑えるエッセイ 乙一「小生物語」

今日は2017年に読んだ本(多分60冊ぐらい)の中で一番笑った本の感想を書きます。

その本とは乙一さんの「小生物語」です。

乙一さんは小説家なのですが、初めて読んだのかこのエッセイ(というか日記)でした。なんでこの本を買おうと思ったのか、明確には覚えていません。たしかネットで「おもしろい」「おすすめ」というレビューを見て興味を持ったんじゃないかと思います。

小生日記の魅力。リアルと非リアルの境界が分からない。

タイトルからもわかるように、この本には日記が書かれています。日記の中で乙一さんは自分のことを「小生」と呼んでいるので、小生日記です。「小生、感動。」みたいな感じです。

げんだちょふは「乙一さんは有名な推理小説家」というだけの前知識でこの本を読み始めました。最初は真面目に「ふんふん」と読んでいたのですが、読み進めるにつれて「・・・なんかおかしい。」と思い始めます。

何がおかしいって、内容がリアルなようで、そうじゃない。始まりはリアルなんだけど、いつのまにか「そんなこと現実にあるわけがない」という所に入り、最後は「ありえない!」というとこに行き着きます。そしてそのフィクションとノンフィクションの境目が分からないんです。(頭のいい人にはわかるのかな?)

どこまでが本当にあったことで、どこからがウソなの?もはや全部ウソなの?

多分、乙一さんに上の質問をしたら「何言ってるんですか。全部本当ですよ。」と答えるんじゃないかなぁ。。。

なんとなく、繰り返し読んでしまう。

げんだちょふは今年この本を3回読みました。1回目は面白くて一気読み、2回目以降は「ちょっと面白いもの読みたい」という気分の時に読んでいました。文章が難しくないのであまり気合いを入れなくても理解できてしまいます。感覚としてはyoutubeでおもしろ動画を見るような感覚でした。

ところで年に3回もこの本を読んだということは、1冊平均2時間として6時間ほどこの本を読んだということですね。1年は24時間×365日で8760時間。6/8760=0.00068…で、1年の約0.7%をこちらの本に費やしたことになります。乙一さんには「小生の本にそんなに時間を割くなんて、無駄ですよ。」と言われてしまいそうです。(妄想です。)

私が惹かれたのはここ。普通じゃないことに対する寛容さ。

ネタバレするような内容についてあまり触れてはいけない。。。のですがちょっとだけ。

「おもしろくって読みやすい」だけなら年に3回も読んだりしなかったと思います。で、何がよかったのかなぁと思って考えて見た所、1つ思いついたことがありました。

日記の中で、男の子の幽霊が出てくる記事があります。(これはフィクションだと思ってます。そうじゃなかったらすごい。)この男の子は「小生」が購入したあるものと一緒にくっついてきちゃうのですが、意図せず家に連れてきてしまった幽霊の男の子のことを「小生」は受け入れちゃうんですね。

普通幽霊って人間からすると「よく分からない怖いもの」で、普通の人なら必死で退治しようとすると思うんです。でもそうじゃなくて、乙一さんは一旦認めるんです。「そこに知らない男の子いるなぁ。」っていうだけ。

げんだちょふは社会の少数派のことを書いてある本が好きです。好きな作家は誰?と聞かれたら江國香織さん、と答えるのですが、江國さんも「普通の人」がちょっと近づかなそうな人とか、理解できなさそうな人たちのことをすっごく魅力的というか、「普通の人」として書いてるんですよね。そうなって当然。みたいな。

小生物語を読んでいても同じものを感じました。乙一さんも、マイノリティとかダサいとか言われる人に対する何かしらの考えを持っている人なのではないでしょうか。