【読書感想文】神野紗希/もう泣かない電気毛布は裏切らない【俳句|短歌|詩の良さがわからないあなたへ】
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俳句のおもしろさがわからない
突然ですが、俳句に興味はありますか?
芸能人の方々が読んだ俳句を、俳人の夏井いつきさんが褒めたりけなしたりする「プレバト!!」というテレビ番組。
ここ数年、この番組がきっかけで俳句に興味を持った人が増えたのではないかと思います。
わたし自身はたまにしかテレビはみないのですが、たまにみかけると「おもしろいな〜」と思いながら見ていました。
けれど正直、夏井さんの解説を聞いても俳句の良し悪しはピンとこないし、まして自分一人ではどう読んでいいかよくわからない。
そんな風に感じていた時に本屋さんで出会ったの俳人である神野紗希さんのエッセイ「もう泣かない電気毛布は裏切らない」でした。
神野紗希/もう泣かない電気毛布は裏切らない
わたしと俳句
作者の神野紗希さんは愛媛県松山市生まれ。
松山市は、誰でも俳句を投函できる俳句ポストがあったり、高校生が俳句で競う俳句甲子園の決勝が開かれていたりする、「俳句の街」なのです。
(神野さんは高校生の時に俳句甲子園で団体優勝しているんだそうです。)
わたしも実は愛媛県松山市生まれです。
思い返してみれば、松山に俳句の街っぽいところはあったかもしれません。
例えば、夏休みの宿題の中に「俳句を1人1つ作って提出する」というのがありました。
とは言っても、本格的に俳句を学んだり、クラスメートと句会をしたりはしません。
大抵の子は8月31日の夜20時ぐらいに5分ぐらい考えて、それを課題の紙に書いて提出していたのではないでしょうか。
わたしはそうでした。
俳句があるけど、エッセイだから読みやすい
そんな俳句音痴なわたしが俳人である神野さんの本を読むことができたのはなぜか。
それは、本書が俳句ばかりを集めた句集ではなく、エッセイだったからです。
俳句ももちろん出てくるのですが、基本的には神野さんの思い出や日常などを描いたエッセイ。
その中で関連した俳句が紹介されています。
神野さんはわたしと同世代。このエッセイの中には幼い息子さんを子育てしている様子も伺えて、親近感を持って読むことができました。
俳句、短歌、詩は読み手の経験値が問われる
神野さんによると、俳句は、言葉の持つ想起させる力を使って、読み手の頭の中に情景を思い起こさせることがポイントなんだとか。
この本のタイトル
もう泣かない電気毛布は裏切らない
を読んで、みなさんはどう思いますか?
ツラいことがあった人が、電気毛布を膝にかけて部屋でうずくまっている。
そんな情景が思い浮かぶのではないかと思います。
でも、どんなツラいことがあったか、うずくまっているのがいくつぐらいのどんな人なのか、どんな部屋なのか。
それらは受け手の経験や想像力によって異なってきます。
わたしの頭の中では20代のかわいらしい女の子が6畳ぐらいの狭い部屋でうずくまっていましたが、男の子を想像する人もいるでしょうし、おばあさんを思い浮かべる人もいるかもしれません。
おばあさんが「もう泣かない」って思っているのも、なんかイイよね・・・!
でも何かしら、自分自身の経験や、これまでに見聞きしたことのある情景と重ねているのではないでしょうか。
多くの人にヒットさせるのが難しい
そんな風に受け手の経験や想像力に委ねられる部分がある以上、俳句は「多くの読み手に理解させる」ことが難しいのかもしれません。
また、受け手側の経験値が少なければ理解できる範囲も限られると思います。
40代が見えてきた今、さまざまなことを経験し、言葉から多くのことが連想できるようになってきたからこそ、俳句や詩が読めるようになってきたのかもしれません。
神野紗希/もう泣かない電気毛布は裏切らない
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