気配を翻訳する

みなさんこんにちは。

前回の更新から、思っていたよりも時間が経ってしまいました。

月並みな表現ですが、月日が流れるのは早いです。

年を取れば取るほど、早いです。

さて、江國さんの言葉から考えるシリーズの第2弾です。

 

モスクワで江國さんにお会いをした時に、翻訳についてのお話になりました。

げんだちょふのロシア通信より)

江國さん自身の作品は

何冊も外国語に翻訳されていますが、

江國さん自身も翻訳者として、

英語の作品を日本語に翻訳することが

あります。

翻訳する時に気をつけていることは

ありますか?という質問に対して

江國さんは

「その物語のもつ気配も翻訳する」と

答えました。

物語の気配って何だろう。

物語の気配って何でしょうか。

例えば夫婦が食事をしているシーン。

同じ「おいしい」という台詞でも、どんな空気感の中で発せられた言葉なのかで

意味合いが変わります。

はてさて、どんな雰囲気なのか。

ほのぼのとしているのか。

張り詰めた空気なのか。

日常の繰り返しが退屈だと感じているのか。

作家さんたちは、その会話の色味を、いろんな言葉を駆使して表現しようとしています。

江國さんは、自分が翻訳しようとしているその本の空気感、色味、語調、、、

それら全部ひっくるめて気配と呼び、

それを壊さないように翻訳するんだ、という意味で「気配を翻訳する」とおっしゃったのだと思います。

システムでの翻訳と人間の翻訳。

Google翻訳はとても便利です。

わたし自身、ロシアに住み始めて以降、大変お世話になっています。

翻訳してみると少々変な訳になったりもするのですが、

スーパーや買い物で使われる日常会話程度であれば意味は通じることがほとんどです。

でもそれは、求められるコミュニケーションのレベルが

「やりたいことが伝われば特に問題ない」レベルだからです。

これからもっともっと技術が発展すれば、

説明書や仕事で使う資料など、客観的に読んで誰もが同じように解釈すべき文章に

ついてはAIでの自動翻訳がほぼほぼ可能になるでしょう。

ですが、(今のところ)Google翻訳に物語の気配までを翻訳することはできません。

物語の気配を翻訳しようとすれば、翻訳しようとしている国の文化はもちろん、作者の生い立ちや考え方、いつ頃書かれた本なのかといったヒストリーまで理解していないと難しいでしょう。

いつか、それすらもAIでの実施が可能になる時が来るのでしょうか。

人間の放つ気配を、AIが理解するとき。

どんな世界になっているのか、楽しみなような、怖いような。。。

前回書いた記事はこちら。

 

https://gendachev.com/2018/03/15/2018-03-15-041508/