【読書感想文】内館牧子「終わった人」自分の引き際は自分で決めたい。
みなさんこんにちは!
3月になりました。ロシア人的には3月から春らしいです。いや、まだ気温はマイナスですけど。。。?
今日もまた本のお話。
オンライン読書会に参加した時に、他の参加者の方が紹介していた本が気になったので読んでみました。
こちらの「終わった人」です。
ホームドラマやん!と思っていたら本当にそうでした。
本のタイトルがめちゃめちゃ不吉な感じですが、この「終わった」は「定年した」という意味です。仕事人生が終わったということです。
「仕事をひらすら頑張ってきた男性が定年してからやることがなくって云々」という話はよく聞きますが、まさにその話です。この本の主人公も定年後、最初はすることが何もなくて落ち込むんですが、いつしか新たな目標を見つけてそれに邁進していきます。
この本を読んだ後の率直な感想は、「こういう2時間ドラマありそう!」でした。心温まる(いや、結構背筋が凍るような展開もある)ホームドラマ的な。
と思っていたら、6月に映画化されるみたいですね。舘ひろしさんと黒木瞳さんかぁ。なるほどなるほど。。。イメージとあってるかも。
定年後に落ち込む主人公。その前にどうすべきだったのか?
あまり書くとネタバレになるのですが、この本の主人公は決して「会社を辞めたくなかった」訳ではなく「仕事で活躍したかったけどできなかった」ために、定年した後も不完全燃焼状態に陥り、あーでもないこーでもないと右往左往することになります。
ですが、定年がなくてそのまま会社に残っていたとしても、主人公の思いは達成できなかったはずです。
主人公も、少なくとも定年の数年前から、それは分かっていたはずです。
私が思うに、主人公は「会社にこのままいても自分の思いは達成できない」とわかった時点で違う道を探すべきだったのです。
徐々に状況は変わりつつありますが、今も「1つの会社に入ったら定年までそこに務める」終身雇用がスタンダードであることに変わりはありません。転職は年齢が上がれば上がるほど難しいという状況もずっと変わっていません。
また、終身雇用がスダンダードであるために、定年という「決まった年齢になったら辞めてもらう」制度は会社側にとって必要なもので、会社に務める人にとっては当たり前の制度です。
という背景を考えると、主人公にとって「定年前に会社を辞めて新しいことに挑戦する」という選択は確かにありえなかったと思います。
未来の雇用の形。自分で引き際を決めるということ。
私はまだまだ定年とは程遠い年齢ではありますが、(いや、その前に今は無職です。でも多分日本に帰ったら何かは始めるはず。)この本を読んで「自分の人生と定年のあり方」について考えさせられました。
これから数十年すれば、先ほど述べたような「終身雇用型」企業の状況は変化しているはずです。
この「終わった人」にも出てくるのですが、60代って定年するには早すぎる年です。だって、まだまだ動けるし、頭もはっきりしている。
私が子供の頃の60代って「おじいちゃん、おばあちゃん」って呼んでも違和感なかったと思うんですけど、今の60代の人を見ても「おじいちゃん、おばあちゃん」と呼ぶ気にはなれません。
実際、定年の年齢は昔は55才でしたが60才、65才とどんどん引き上げられています。
このまま少子化が進んで平均寿命も伸びれば、私たちの世代(今30代以下の人)が60才を迎える頃には、もう定年の概念がなくなっているんじゃないかと思います。
さらにそれに加えて、これは希望ですが、年を重ねているということが再就職の際に不利にならないような時代になればいいなあと思います。
そうすれば会社に決められたタイミングで辞めるんじゃなくて、自分で決めたタイミングで辞めることを躊躇なく選択することができるようになります。(雇う側にとってはとっても面倒かもしれないですけど。)
自分で自分の引き際ぐらい決めさせてほしいし、決められる人になりたいなぁ。
(もっと面白く書きたかったのに、すっごく真面目で普通な感想文になってしまったなぁ。ユーモアがほしいなぁ。ギブミーユーモア!)
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