【読書感想文】岸見一郎 本をどう読むか 幸せになる読書術

「本をどう読むか 幸せになる読書術」は、表面的な読書のハウツーではなく、本というテーマで岸見さんの人生が語られています。岸見さんが本の読み方を教えてくれながら、私(読者)自身に寄り添って本の読み方を一緒に考えてくれる、そんな本です。岸見さんの読書スタイルと、自分の読書スタイルを比べるうちに、思わぬ発見をすることができます。

私がこの本を読んで手に入れた「発見」はいくつもあるのですが、その中の1つ。

「人生で後悔していることありますか」と聞かれたら、「10代のころにあまり本を読まなかったことです」と答えます。

小学生の頃までは自由な時間があって、リビングのソファに寝転んでクッキーを食べながらという「堕落スタイル」にて本をよく読んでいましたが、中学校入学以降、大学生になるまでの間は本を読むための自由時間がなくなってしまいました。

大学生になると時間があったはずなのですが、自分が読書が好きだということは忘れていました。もう一度本を読むようになったのは大学生の中頃で、就職活動のストレスを解消するために伊坂幸太郎さんのチルドレンを買ったら、止まらなくなりました。しばらく伊坂幸太郎さんの本ばかり買っていました。

10代の頃に読んでなくても、今から読めばいいじゃないと思うかもしれませんが、そんなわけがありません。同じ本を読んでも、10代の女子の感想と30代のおばさんの感想では全く異なるものになります。親子の話であれば、感情移入する先の人物が子から親へ確実に変わります。となりのトトロ。最初はさつきとメイの冒険に心奪われてたけど、いつの間にか子どもと離れて入院しているお母さんの方に気持が向いてませんか。クレヨンしんちゃんだって、「しんちゃん面白いな」から、いつの間にか「こんな子どもが本当にいたら大変だろうな」という大人目線の感想に変わっていく。(これだけ本、本と言っておきながら、例えが本じゃなくてスミマセン。)

年齢を経たことによる良い変化も、もちろんあります。10代の頃には理解できなかった本が、今は理解できる。中学生の時に国語の本に出てきた夏目漱石のこころ。中学生の時には「なんで先生がこんな風に考えるのか、分からん」としか思わなかったのに、今は普通に読める。一度は理解できなかったという経験があるおかげで、「わたし、成長してるやん!」と自分の成長を知ることができます。

つまり、良書をたくさん読んで知識人になりたいとかいう純粋な気持ちではなく、「10代のときにもっと難しい本を読んでおけば、成長かみしめチャンスがもっと増えたのに」という、「あのときビットコインに投資しておけば今頃は大金持ちだったのに」にも近い、やや不純な動機によるものです。

そんなわけで、タイムマシンがあれば10代の頃に帰って本をたくさん読もうと思うのです。

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