【読書感想文】ロシアへの愛があふれる ロシア関連エッセイ本

ロシア関連のエッセイ本の感想です。どの本も作者のロシアへの愛の深さを感じます。

米原万里 ロシアは今日も荒れ模様

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ロシア語通訳者として活躍した作者が、ロシアの文化・政治・人について、おもしろくも愛のある文章で書いたエッセイ。ロシアの良いところも悪いところも率直に書かれていて、「ワハハ!」と文字の通り声に出しながら読める本です。一見悪口に見える文章も、米原さんのロシア人や政治、文化に対する愛の深さを感じさせ、全く嫌味に感じません。

げんだちょふ的に一番衝撃だったのは、本のかなり序盤に書かれていたロシアの田舎にあるお手洗いのお話。それがいかなるものかというのを説明した一節を読んで、頭の中で想像してしまい、「ううぅ・・・」と唸らずにはいられませんでした。

誰もが知っているような名だたるソ連の著名人の通訳をしていた彼女の経験を、誰もが分かるように、おもしろおかしく語ってくれるこの本はロシアが特に好きというわけでなくても、一読の価値があります。

こんな人にオススメ

  • おもしろいエッセイが好きな人
  • ロシアの政治、文化、ロシア人について知りたい人

げんだちょふ
オンライン読書会でも米原さんの作品を「おもしろい!」とおすすめしてくださる方は多いです。

武田百合子 犬が星見た ロシア旅行

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昭和44年(1969年)に1ヶ月かけてソ連を旅した日々を記録した、旅行エッセイ。穏やかなリズム、でも芯のある百合子さんの文章を読んでいると、雨水が地下に染み渡っていくように、文章が心にゆっくりと入っていくように感じます。

「○月○日 はれ」という、日記の書き出しとして定番のフレーズで始まるこの旅行記は、日々起こったできごとをつぶさに(朝食に何を食べたのか、その時誰が何を言ったのか、レストランのウェイターはどんな表情だったのかなど)を記録しています。一気読みするのではなく、毎日少しずつ、一緒に旅をしている気分で読み進めるのがオススメです。

この「犬が星見た」を愛するファンも数多くいるようです。高山みなみさんの「ロシア日記―シベリア鉄道に乗って―」は、百合子さんが見たのと同じ景色を追ってロシアを旅する旅行記。これまた穏やかなステキな文章です。

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この2冊をセットで読むのもオススメです。げんだちょふは、この2冊の関連性を知らず、先に本屋で見つけた高山さんの「ロシア日記」を読みました。せっかくなら「犬が星見た」を読んでから「ロシア日記」を読んだ方が、より高山さんの感動を味わえたかも、と思います。

げんだちょふ
「ロシア日記」は、高山さんに同行した友人、画家の河原さんのイラストもステキです。

こんな人にオススメ

  • シベリア鉄道など、長期のロシア旅行に興味がある人
  • 毎日少しずつ、じっくり読める本を探している人

ピョートル・ワイリ / アレクサンドル・ゲニス 亡命ロシア料理

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ソ連時代にアメリカへ亡命した2人(ワイリはラトビアのリガ出身、ゲニスはロシアのリャザン出身。)が書いたロシア料理に関するエッセイ。亡命先の米国で、同じく亡命したロシア人に向けて書かれたものです。「祖国の豊かな料理文化を忘れないで!」という仲間へのメッセージを感じます。(同時に、ファストフードのような米国の食文化に対する嫌味も、ちょこっとあります。)

エッセイとしても読み応えがあるのですが、レシピもきちんと掲載されています。エッセイの中に「〇〇肉にバターとにんにくと・・・」なんていう文章を読んでいると、想像しただけでお腹が空いてきて、自分でも作ってみたくなります。

最近、海外の本を読む度に思うのは「ことばを翻訳するって想像するだけで本当に大変な作業なんだろうなぁ」ということ。自分が習っていることもあって、特にロシア語の翻訳者さんの仕事には頭どれだけ下げても足りません。特にこの本は「元のロシア語は一体・・・?」というようなびっくりするような表現がいくつもありました。

例えばこちら。

41 スメタナを勧めたな!

1996年 未知谷社出版 亡命ロシア料理 ピョートル・ワイリ アレクサンドル・ゲニス 188ページより引用

見事なダジャレの仕上がり具合に、感嘆のため息をついたのでした。

げんだちょふ
ロシアにいるうちにロシア語の本を探してみようかな

こんな人にオススメ

  • 食いしん坊な人
  • ロシア料理に興味がある人

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